第3段階 その1

 ベーシックステージ・ミドルステージとやって、とうとう第3段階のハイステージまで来た。振り返ってみると最短コースだったりする。

 ハイステージは日常の活動が主になる。最初・中間・最後の週末に全員参加で実習があるのと、全員の強制ではないが何回か行われるミーティングがある。その他の日常は参加者の自由行動だ。では、その日常で何をやるのか?というのは、最初の週末で明らかになる。場所はオフィスもあるビルのホール、トレーナー(進行役)は、ベーシックのときと同じS氏。

 ハイステージでは一種の「ゲーム」をやるとのこと。それを「エンロールメントゲーム」という。エンロールとは、S氏曰く、「セミナーのすばらしさを紹介し、一人でも多くそれを体験してもらうこと」という。
 「これをしなくてもハイステージは進められますが、得られるものが格段に違ってきます」とS氏。要するに「勧誘」なのだが、ベーシック、ミドルと体験した自分には、そういう言葉は浮かんでこなかった。自分がこんなにすばらしい体験をしたんだから他の人もわかってくれるはず、と思いこんでいた。ただ、エンロールにはルールがひとつあって、「セミナーの内容を話してはいけない」。これはちょっと厄介そう。

 読者の方々には申し訳ないのだが、ベーシック・ミドル・ハイステージと段階が上になるごとに時間的には新しい出来事なのに、ハイステージの実習内容の方が、ベーシックに比べて記憶が曖昧なのだ。おそらく第3段階ということで、体験としても新鮮さに欠けるからだろう。
 それでも断片的な記憶を頼りに続けていこう。まず、このハイステージ期間(確か8/30まで)に自分が何か継続してやることを決める。僕は日記をつけることにした。そしてグループ分け、3〜4グループだったと思う。

 そのあと「エンロール(勧誘してベーシックステージを受けさせる)」の人数を各々が考える。早い話がノルマだ。ただし仕事のノルマと違うのは、「自分で決めること」で、これは逃げ道を塞ぐことにもなる。人数が決まったら、みんなの前に立ってシェアする。僕は「4人」とした。
 シェアすると、S氏が、「●●(ニックネーム)の人数が多いと思う人、ちょうどいいと思う人、少ないと思う人」とみんなに聞き、それに呼応して参加者およびアシスタントが手を挙げる。それを見て、もう一度席に戻って考える。そしてまた人数をシェア。僕の一回目は「少ない」と思う人が比較的多かったように見えたので、人数を6人にアップし、シェアすると、「2001年」が流れてきた。これが私のノルマ、しかも「自分で決めたノルマ」というわけだ。これを20人弱のメンバー全員がやり、それぞれがノルマを持つことになる。

 ノルマを果たすことを「達成」という。全員のノルマの合計がこのハイステージ全体の目標となる。この「全員の合計」は個人のノルマよりも重要視され、全員の勧誘人数の合計がこれに達したときに「このハイステージとしての達成」となる。私のときは全体で八十数人だったと思う。
 勧誘に成功することを「ONする」という。我々の場合、ほぼ1日につき1ONが必要な計算になる。