第2段階 その6

 開けて4日目の日曜日、今日は横浜に帰る日だ。

 この日、帰る前に何らかの実習があったか、実はまるで覚えていない。紹介者から手紙をもらっていたのだが、3日目か4日目か覚えていない。覚えているのは帰り道のことだ。帰りは行きのバスと違って、アシスタントらスタッフの車に分乗という形だった。ずいぶんとアバウトだ。

 実習は戻ってやったものを覚えている。数年後にみんなが再び会ってパーティーを開くという設定で、メンバーがそれぞれ、なりたい自分を演じるというものだった。私は、好きな人と結婚しているという設定を演じた記憶がある(ちなみに、いまだ実現していない(号泣))。

 そのあと、メンバーが外向きに輪になって手をつなぎ、目を閉じた。一人ずつ促されて目を開けるとK氏が「パワーを注入する」ような素振りを見せた。
 そしてまた目を閉じて、これまでのまとめとなる。K氏がこれまでの四日間を振り返る。しかしこの四日間も精神的・体力的に相当ハードだった。しかしなぜかよくわからないのだが、何か「忘れ物」をしてきた気分になった。やっぱり1日目の瞑想から醒めてしまったことが引っかかっているのだろうか。

 また、最後に目を閉じるということから、この先の展開は、もしかしてベーシックのときと同じ、つまり紹介者が前にいるのではないかと読んだ。K氏の合図での声で目を開けると、予想どおり目の前に紹介者がいた。

 このあと我々は、ベーシックステージ終了式のパフォーマンス、つまりミドルステージに誘うために何をしようか、ということを相談した。練習は近くの公園。ここはベーシックステージの会場からも近いのだが、ベーシックの参加者は昼食以外では外には出てこないので、うってつけの場所だ。周りの人からは奇異に見えただろう。
 さてベーシックステージの終了式。ドアが開いてホールの中に入る。参加者は目を閉じて手をつないでいる。1ヶ月前は、僕も何も知らずにああやって立っていたと思うと、ちょっと恥ずかしい。参加者の目が開き、驚きの声が挙がる。懐かしい光景だ。
 練習したとおり、パフォーマンスを披露する。この中で何人がミドルステージに進むのだろうか。

 数日後、「オリエンテーション」というものがあった。ベーシックのインタビューは個別だったが、オリエンテーションは遠方の人を除いて、基本的にミドルステージ参加者全員を集めて行われる。
 ベーシックのあとのインタビューがミドルステージへの勧誘だったので、これも第3段階・ハイステージへの勧誘だろうと思ったら、まったくそのとおりだった。そのときは、ハイステージの内容もわからず、参加費も無料ということも手伝って、結局ミドルステージの全参加者がハイステージに進むことになった。このあと、「ただより高いものはない」ということわざを嫌というほど思い知らされることも知らずに・・・。