セミナー解説 その3

 さて第2段階における最大の狙い、「セミナーの価値観の植え付け」、これは「ストレッチ」がまさにそうだ。これは4泊5日の中でも丸1日を費やして行われる。まさにセミナーが第2段階の中でも最重要視していることを表している。

 その前に伏線がある。1日目最後の飛行機が墜落する瞑想、ここでセミナーの方向性が示されている。セミナーの大前提は「性善説」。

 そしてストレッチだが、演目の決め方の過程を見るとかなり参加者の自主性が重んじられているように見えるが、いくら参加者の希望を聞いたところで、演目を決めるのはトレーナーだ。言い渡される演目は一つだけ、選択の余地はない。つまり希望は聞くけれども、演目はあくまでセミナーの意図に沿ったものをやるということに他ならない。
 ストレッチは、「自分の殻を破る」というのがテーマなので、ほとんどが当人にとってやりづらいものであることは確かだ。必然的に、実習終了後に仲間全員が集まり、協力して知恵を出し合うこととなる。それまでにの実習で全員がかなり深い絆で結ばれているが、それをさらに固くさせる効果が、この過程にある。つまりストレッチは前日の夜から始まっているのだ。
 この固い絆は、次の第3段階に進むときに効果を発揮することになる。

 ストレッチにかかる時間は人それぞれ。15分くらいで「完了」できてしまう人もいれば、数時間を費やす人もいる。長時間を費やしてなかなかOKがもらえない人の場合、他の参加者のアドバイスなど、助け船が入ったりする。ここで連帯意識がまた高まる。
 ここでOKが出るというのは、トレーナーから見て「与えられた役になりきった」と判断できたということだ。前にも書いたとおり、演目はセミナーの意図に沿ったものであり、それを演じきるということは、参加者本人が心から「セミナーの意図する方向」に向かったということを意味する。すなわち「セミナー的価値観の植え付け」がここで完了するというわけだ。セミナーが第2段階中、ストレッチを最重要視している点も、ここにある。
 そして、「ゆりかご」に乗せるのは緊張状態から解放された「癒し」であり、それを高く差し出したところでパスワードを叫ばせるというのは、「セミナーへの帰属」のとどめと言えるだろう。

 こうして、「セミナーへの帰属」「過去の清算」「セミナー的価値観の植え付け」をすべて完了した状態で合宿を終える。

 合宿のあとに、「オリエンテーション」という第3段階への勧誘の場がある。
 第3段階で何をやるのか知らされていない受講生の間では、費用面でも問題が少なく、第2段階よりも大きな感動を味わえると思いこんで受講を決める人も多いだろうが、中には慎重な人もいる。この場合に重要となるのが、第2段階で築いた「仲間意識」。受講生同士で第3段階の勧誘をするのだ。そのため、第3段階は第2段階のメンバーのかなりの比率がそのまま連続して受講する場合が多い。
 第3段階については次回で。